Reader Report
考えたこと成功すると、応援が減る?——社会起業の不思議なパラドクス
「いいことをして、ちゃんと成果も出す。
だったら、人もお金ももっと集まってくるはず」
——そう思いますよね。
でも社会的な事業では、しばしば逆が起きます。
うまくいくほど、支えてくれる人が静かに離れていく。
関西大学の横山恵子先生が、組織科学(2022年)に寄せた招待論文。
社会課題をビジネスで解決する「ソーシャル・アントレプレナーシップ」について、欧米の研究をまとめて見渡したものです。
普通のビジネスなら、結果を出せばお金は後からついてくる。
でも、寄付などに支えられる非営利型の社会起業はちがいます。
成功すると、むしろ資金の出し手が手を引いてしまうことが多いんです。
なぜか。
ひとつは、「ここはもう大丈夫そうだね」と寄付者が安心して離れていくから。
もうひとつは、限られた支援が「次はあっちを助けよう」と別の団体に回っていくから。
研究の世界で「成功のパラドクス」と呼ばれてきた現象です。
だからこそ、多くの社会起業は大きく育ちにくく、小さいまま留まりやすい。
背景にあるのは、社会性と経済性——
向きの違う二つのルールを、同時に抱えなきゃいけない難しさです。

