経済ショック時に人々の支出はどう変わるか
コロナウィルスなどの外生的ショックは、経済全体に影響を及ぼすばかりでなく、個人の購買心理などにも影響を与えます。実際、コロナの時には一部消耗品の買いだめ・買い占め行動が発生しましたし、不景気になるとなれば人々は外食を控えたりもします。その影響は、どれだけの範囲に、どのように及ぶのでしょうか。
筑波大学の内田彬浩先生は、論文「購入型クラウドファンディングにおけるCOVID-19パンデミックの出資者行動への影響」で、コロナの影響がクラウドファンディングでの投資行動にまで影響を与えていることを明らかにしました。調査の結果、コロナパンデミック発生後には、1件当たりの支出額は明確に小さくなり、その代わりにより頻繁な回数、クラファンが使われるようになっていたのです。
クラファンでの人々の投資行動はコロナでどう変わったか
従来、経済への外生的なショックが起こったときには、人々は支出を抑える傾向にあることは昔から広く知られていました。長期的な家計の悪化が懸念されるためです。内田先生はまずこの点から、クラウドファンディングにおいても人々の支出額が減少するはずだ、と仮説を立てます。
また、そうした出資者側の行動変化が知覚されているなら、クラウドファンディングプラットフォームを運営する側や、クラウドファンディングを企画する側も、それに対応して小口の出資枠を用意するようになるはずだ、と内田先生は仮説立てをするのです。
本論文ではこれをコロナ前と後とを合わせた32000件を超えるクラファン企画のデータで検証しました。データはいずれも、日本国内のクラファンサイト、CAMPFIREから取得したものです。
その結果、クラファン企画への出資金額はコロナ後ではっきり小さくなっていること、それに合わせてクラファン企画側も小口出資用の枠組みをより多く用意するようになっていることが明らかとなりました。
それと同時に、本論文ではもう一つ興味深い事実が観察されます。コロナ前とコロナ後、全く同じ長さの期間を取り出して分析したのですが、出資総額にはほとんど変化がなかったことが分かりました。それはつまり、1件当たりの出資額は少なくなったものの、より多くの件数の出資が行われたことを意味します。ここから、内田先生は「少額ではあるがより高い頻度でクラファンが社会的に実行された」と結論するのです。
外的ショック時の立ち回り方
この論文を踏まえて、ビジネスパーソンが知っておくべきことは、第一には何よりこの点でしょう。
★外的ショックが起こったときは、支払いはより小口になる。
消費者心理がそのように動くことを常に念頭においておけば、外的ショックがあったときにより上手に立ち回れるようになるはずです。
★外的ショックがあっても社会的な支出総額は実はそう変わらない。
経済というものが循環するものであり、それによって我々の生活が支えられている以上、全体として縮小することはあるとしても、一気にゼロになったり、半減したりということは基本的に考えにくいことです。1件当たりの支出が少額になる分、消費・購買の頻度は高まるとみることができるのです。
内田先生はこれに対し、外的ショックがもたらした人々のニーズ変化に対応して、新しい支出の方向性が生まれてくるとしています。要するに、需要の変化を読んで、先回りして少額で購入可能なサービスを用意することが、外性ショック時の商売の上手な立ち回り方だ、ということになるのです。
確かに、コロナの時にはマスクであるとか、フードデリバリー、ワクチンなど様々な新しいビジネスが立ち上がりました。そしてそのいずれもが、少額で利用できるものでした。
この知見、次なる外生ショックの際に、活かさない手はないでしょう。消費者心理と経済の大きな動き、うまく今後の戦術的な立ち回りに反映してもらえたらと思います。
