なぜ、人事のプロは「使える知識」を知らないのか? ~人事の「知」のアップデートが急務な理由~
「エビデンス・ベースド・マネジメント(EBMgt)」という言葉を聞いたことがありますか?
EBMgtとは、経営に関する重要な意思決定を、個人の経験や過去の成功事例といった主観的な情報に頼るだけでなく、科学的な根拠に基づいた客観的なデータに基づいて行うべきだ、という考え方です。
この考え方は、医療の世界では当たり前のように実践されています。
例えば、医師が患者の治療法を決定する際には、最新の研究論文や臨床試験の結果などを参考にします。
しかし、経営の世界、特に人事管理の分野では、EBMgtの考え方が十分に浸透しているとは言えません。
人事管理は、企業の成長を左右する非常に重要な分野です。
従業員の採用、育成、評価、報酬など、人事に関するあらゆる意思決定が、企業の業績に大きな影響を与えます。
それにもかかわらず、人事のプロフェッショナルたちが、最新の研究成果や有効な手法を「知らない」「使えない」という状況が見られるのは、非常に憂慮すべき事態と言えるでしょう。
なぜ、このような状況が生まれてしまっているのでしょうか? 神戸大学などの研究チームは、この問題に切り込むため、人事担当者がどの程度、人事管理に関する知識を持ち、それを活用しているのかを調査しました。
調査の結果、人事担当者の「知」の現状について、以下の3つの課題が明らかになりました。
1.知っている知識に偏りがある:人事担当者の「知識の偏食」の実態
人事担当者は、目標設定や人事評価など、昔から重要視されてきた一部分野の知識を集中して知っていました。しかし、近年注目を集めている、人材育成や学習転移などの分野の知識は、知る機会があまりありませんでした。まるで、得意科目に偏った受験生のように、知識のバランスが崩れている状態です。これでは、変化の激しい現代社会に対応できる、効果的な人事戦略を立案することは難しいでしょう。
2.知識と実践にはギャップがある:頭でっかちでは意味がない
多くの知識を知っていても、それを実際に活用しているとは限りませんでした。「知っている」と「使える」の間には、想像以上に高い壁が立ちはだかっているようです。知識は持っていても、それをどう活かせば良いのか、具体的な方法がわからないのかもしれません。これでは、宝の持ち腐れです。知識は、実践を通して初めて価値を発揮します。
3.知識の入手ルートは限られている:閉鎖的な学習環境からの脱却
人事担当者が知識を得るルートは、ビジネス書や研修などが中心でした。大学院での学習や研究者との交流は、あまり活用されていませんでした。限られた情報源に頼ることで、知識の幅が狭まっている可能性があります。常に新しい情報に触れ、視野を広げることが重要です。
これらの調査結果から、人事担当者が「使える知識」を十分に活用できていない現状が、改めて浮き彫りになりました。
このままでは、日本企業は国際競争力を失ってしまうかもしれません。では、どうすればこの状況を改善できるのでしょうか?
次に、具体的な解決策を提示します。
【実社会への応用】人事担当者が「使える知識」を身につけるための処方箋 ~組織を劇的に変える3つのステップ~
人事担当者が「使える知識」を身につけ、組織を強くするためには、知識の棚卸し、情報源の多様化、知識の実践という3つのステップが重要です。
1. 知識の棚卸し:まず何を知らないかを知る ~「無知の知」を自覚することから全ては始まる~
まずは、自分自身がどのような知識を持っていて、どのような知識を持っていないのかを把握しましょう。
知識の偏りをチェック!~自分の「無知」を直視する勇気を持とう~
自分の知識の偏りをチェックするには、以下の方法が有効です。
- 自己診断テストの活用:人事管理に関する知識の自己診断テストを受験してみましょう。インターネットで検索すれば、無料で利用できるテストがたくさん見つかります。
- 同僚との意見交換:同僚の人事担当者と、最近話題になっている人事トピックについて議論してみましょう。議論を通して、自分の知識の弱点や誤りに気づくことができるはずです。
- 研修コースの分析:人事関連の研修のコース一覧を分析してみましょう。自分がこれまで受講したことがないコースや、内容がよくわからないコースは、自分の知らない分野である可能性が高いです。
2. 情報源の多様化:大学や研究者との連携を強化する ~閉鎖的な学習環境から抜け出そう~
知識の入手ルートを多様化することで、より幅広い知識を習得できます。
大学や研究機関と連携しよう!~アカデミアとの交流のススメ~
大学院への進学は、体系的に知識を習得するための最も有効な手段の一つです。また、研究会やセミナーに参加したり、研究者に直接コンタクトを取ったりして、交流を深めることも、新たな知識を得るきっかけになります。大学の公開講座や市民講座なども、最新の研究成果を学ぶ良い機会となるでしょう。
3. 知識の実践:OJTを通じて知識を血肉化する ~「知は力なり」を体現するために~
知識を習得するだけでなく、スポーツ選手が毎日のトレーニングを欠かさないように、日々の実践を通して知識を血肉化することが、何よりも重要です。
知識をOJTで活用しよう!~実践こそが最大の学びの場~
OJT(On-the-Job Training:オン・ザ・ジョブ・トレーニング)とは、職場内訓練とも呼ばれ、上司や先輩が、部下や後輩に対して、日々の業務を通じて知識やスキルを教え、育成する手法のことです。 人事担当者自身がOJTトレーナーとなり、部下や同僚に知識を教えることで、自分自身も知識を深めることができます。また、新しい知識を活用できるプロジェクトに積極的に参加することも、実践の場を広げる上で非常に有効です。さらに、過去の成功事例や失敗事例を徹底的に分析し、知識を実践に活かす方法を学ぶことも、知識を血肉化する上で欠かせません。
【まとめ】人事担当者が「使える知識」を身につけ、組織を劇的に強くしよう! ~知識こそが最強の武器になる~
人事担当者が「使える知識」を身につけ、組織を強くするためには、知識の棚卸し、情報源の多様化、知識の実践という3つのステップが不可欠です。
これらのステップを着実に踏むことで、人事担当者は企業の医者として、組織にある病を的確に診断し、効果的な治療を施すことができるようになります。その結果、企業は活性化し、従業員は生き生きと働き、業績は右肩上がりになるでしょう。
それでは早速「使える知識」を身につけるための、実践的なトレーニングを始めていきましょう!
