脱「勘」の人事 勘とエビデンスの乖離大きく【組織科学】

脱「勘」の人事 勘とエビデンスの乖離大きく【組織科学】

【脱・勘と経験】人材投資を最大化!エビデンスに基づいた人事戦略の構築法
~人事の「勘」はどこまで正しいのか? データが語る人材戦略の真実~

なぜ今、人事戦略に「エビデンス」が必要なのか?

 人のマネジメントについては、その決定のかなりの部分を「勘」や「経験」に頼ることが多いはずです。
一方、現代ではエビデンスに基づいた人事(Evidence-Based HRM:EBHRM)という考え方も広まってきています。

長年人事の仕事をしていると、「こうすればうまくいくはずだ」という独自の理論(いわゆる「勘」)が生まれるものです。しかし、その「勘」は本当に正しいのでしょうか?
この論文では、ここで「勘」と呼んでいたものを、人事プロフェッショナルの「しろうと理論」と呼びます。人事プロフェッショナルのしろうと理論と、科学的エビデンスは、どこまで一致するのでしょうか。それをもとに、人材戦略における「勘」と「エビデンス」のバランスについて考えます。

論文の要約:人事プロの「勘」と科学的エビデンスの一致度を検証

本記事は、学術論文「人事プロフェッショナルのしろうと理論と科学的エビデンスはどこまで一致するのか」に基づき、人事プロフェッショナルが持つ「しろうと理論(個人の経験や知識に基づいて形成された、暗黙の了解のようなもの)」と、科学的なエビデンスがどの程度一致しているのかを検証したものです。
研究では、人事プロフェッショナルに対し、人材マネジメントに関する様々なテーマ(採用、教育、評価、報酬など)について、自身の考えや信念を尋ねるアンケート調査を実施し、その結果を既存の研究結果(=エビデンス)と比較しました。

論文の主なポイント

人事プロフェッショナルの「しろうと理論」は、必ずしも科学的なエビデンスと一致するとは限りません。特に、人材マネジメントに関する一般的な信念や慣習の中には、エビデンスによって否定されているものも存在します。人事プロフェッショナルは、自身の「しろうと理論」を過信せず、常に最新のエビデンスを学び続ける必要があります。エビデンスに基づいた意思決定を行うことで、人材マネジメントの質を高め、組織全体のパフォーマンス向上に貢献できません。

研究結果の要約

本研究の結果、人事プロフェッショナルが長年の経験から培ってきた「勘」や「経験則」は、必ずしも最新の科学的なエビデンスと一致しないことが明らかになりました。
特に、人材の採用や評価、能力開発に関する一般的な信念の中には、科学的な研究によって効果が否定されているものも存在することが示唆されました。

実務への応用:エビデンスに基づいた人材戦略を構築するための3つの施策

では、経営者やビジネスパーソンは、本研究の結果をどのように活かせるのでしょうか?
エビデンスに基づいた人材戦略を構築するための3つの施策を、具体的な事例を交えながら解説します。

施策1:人事戦略の「前提」を疑う


まずは、自社の人事戦略における「前提」を洗い出し、本当に効果があるのかどうかを検証することから始めましょう。

具体例:

  • 「優秀な人材は、高学歴である」という前提は、本当に正しいのか?
  • 学歴だけでなく、個人の能力や経験、性格特性など、様々な要素を総合的に評価する必要がある。
  • 「従業員のモチベーションを高めるには、給与を上げれば良い」という前提は、本当に正しいのか?
  • 給与だけでなく、仕事のやりがいや成長機会、良好な人間関係など、様々な要素がモチベーションに 影響を与える。

施策2:最新のエビデンスを学ぶ

 次に、人材マネジメントに関する最新の研究結果や事例を積極的に学び、自社の「前提」を検証しましょう。

具体例:

  • 人材アセスメントルール1を活用し、客観的なデータに基づいて人材の能力や適性を評価する。
  • 従業員満足度調査やエンゲージメント調査を実施し、組織の課題や改善点を把握する。
  • 人事コンサルタントや研究機関と連携し、最新の人材マネジメントに関する知見を取り入れる。

施策3:データに基づいた意思決定を行う

 最後に、収集したデータやエビデンスに基づき、人事戦略を立案・実行するようにしましょう。

具体例:

  • 採用活動においては、過去の採用データや入社後のパフォーマンスデータを分析し、採用基準や選考方法を改善する。
  • 研修プログラムの効果測定を行い、効果的な研修内容や実施方法を特定する。
  • 従業員のキャリア開発支援においては、個々の能力や適性、キャリア志向を考慮し、最適なキャリアプランを提案する。

「勘」と「エビデンス」の融合で、組織の成長を加速させる

かし、「勘」だけに頼った人事戦略は、組織の成長を阻害するリスクも孕んでいます。これからの時代は、「勘」と「エビデンス」をバランス良く融合させることで、より精度の高い人材戦略を構築し、組織全体のパフォーマンスを最大化することが求められます。まずは、自社の人事戦略における「前提」を疑い、最新のエビデンスを学び、データに基づいた意思決定を行うことから始めましょう。エビデンスに基づいた人材戦略は、組織の成長を加速させるための強力な武器となります。

 今後は、AIやビッグデータ解析技術の発展により、人材マネジメントに関するデータ収集・分析がより容易になると予想されます。これにより、個々の従業員の特性や能力をより詳細に把握し、パーソナライズされた人材育成やキャリア支援が可能になります。また、組織全体の人材ポテンシャルを最大限に引き出すための、より効果的な人事戦略を立案・実行することも可能になるでしょう。エビデンスに基づいた人材戦略は、これからの企業にとって不可欠な競争力の源泉となるはずです

  1. 人材アセスメントツール:客観的なデータに基づいて、個人の能力、性格、適性などを評価するためのツール ↩︎

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