オープンアクセスのCFOデータベース(2000-2022)が作られたという話。

オープンアクセスのCFOデータベース(2000-2022)が作られたという話。

S&P1500のCFOデータベースが完成!

こちらでご紹介する論文は、かなり特殊な論文です。
ですが、こうした論文もまた大変重要な学術発展ということで、アカデミアの取り組みとして知ってもらえたらと思います。

アメリカで、2000年から2022年までのCFOのデータベースが作られた、という論文です。
データベースはOSFというプラットフォーム上に公開されています。
osf.io/fh248/?view_only=2c62d6eb59bd433496ce101689df3adc

実際のところ、完備性の高いデータベースを構築することは、経営学のみならずあらゆる学術分野において大変重要なことです。非常にお金もかかるし、研究者やそのアシスタントの時間を大変に使うことになります。

その非常に負担の大きい作業の一方で、データベース作りはいわゆる「研究の前段階の作業」とされ、それ自体を功績として評価する仕組みは分野の論文誌には存在していないことが多いのです。
※様々な学術分野で、各国、各研究機関でそうしたデータベースを整備する役割の予算やポスト、仕事としての功績を評価する枠組みがある場合もあります。

世界の経営学のトップ誌である「Strategic Management Journal」は、今回、アメリカの主要企業のCFO、約20000人の就任退任のデータベースを構築したというその努力を評して、南開大学のZhang先生たちの取り組みを論文「A database of chief financial officer turnover and dismissal in S&P 1500 firms, 2000–2022」として掲載したのです。

このデータセットはS&P1500を対象に、2000-2022年の期間にわたり、CFO職種として仕事をしていた人々の就任・退任や、その個人のキャリアに関する情報、そして会社の情報までもが紐づいた膨大なものです。上記の通り、対象者は2万人弱に上ります。

このデータを使って、どんな研究ができるか。それが、アカデミアに与えられた次なる課題です。このデータを使えば、CFO在任期間の長さと業績との関係や、不祥事が起こりがちなCFOのパターン、CFOの移動が作り出すネットワークの効果など、CFOのあり方がどうあることが企業にとって望ましいのかが、これから様々に解明されてくることが期待されます。

人知れず行われる努力に敬意を!

普段の記事とすこしテイストが違うかもしれませんが、データベースを作るという作業は、良い研究をするため、社会の本質、ビジネスの真理を探求するためのインフラです。そこには、膨大な研究労力と資金を投じる必要がある。そしてもう一つ、そういうデータベースが、世界のどこに、どう存在しているのかが広く研究者コミュニティで共有される必要がある。

そんな様子が垣間見れる、変わった論文の紹介でした。皆さんもぜひ、「データベース作りは研究のインフラ、誰かの努力でそれは実現されている」ということを、知っておいてください。

記事原案 新谷志津乃

コメントを残す