フリーアドレス 主体的な場所選びが創造性に貢献

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創造性を生む“中程度の多様性”

東京大学大学院の稲水伸行先生、株式会社オカムラ ワークデザイン研究所 牧島満チーフリサーチャ、ディスカバリーズ株式会社 島田 祐一朗代表取締役社長による共同研究チームは、ハイブリッド・ワーク環境下でのクリエイティビティ向上策を探りました。
論文「時間展望とクリエイティビティ:細かい時間単位の行動データを用いたハイブリッド・ワークの分析」では、家具メーカーの従業員257名を対象に、1ヶ月間の詳細な行動分析を実施しています。具体的には、オフィス内の位置情報やビジネスチャットの解析、そしてアンケート調査を組み合わせることで、出社とテレワークを併用する働き方が、創造的・革新的な行動にどのような影響を及ぼすのかを多角的に検証しました。

研究手法として、従業員のカード型デバイスとオフィスに設置された小型無線発信器「ビーコン」を用いて、10分単位のオフィス内での移動履歴を収集。ビジネスチャットの利用状況も詳細に記録しました。これらの行動データと、アンケート結果の自己評価によるクリエイティビティの関連を統計的に分析しました。

結果、クリエイティビティが高い従業員は、オフィス内で利用する場所の多様性が「中程度」である傾向が判明しました。これは、特定のホームベースとなる場所(全体の7〜8割滞在)を持ちつつ、活動内容に応じて複数の異なる場所を短時間で使い分ける行動パターンを指します。一方、チャット日数が少ないこともクリエイティビティと関連していました。

この結果は、ハイブリッド・ワークにおいて、物理的な制約が緩和される中で「主体的に場所と時間配分を選択できること」が重要であることを示唆しています。多様なワークスペースをバランス良く使い分けることで、創造的な活動が促進される可能性が考えられます。

クリエイティビティ向上に活かせる実務的な3つのポイント

本論文の分析から、ビジネスパーソンがクリエイティビティ向上に活かせる実務的な3つのポイントをまとめました。

1.「ホームベース」を意識した多様なワークスペースの活用
クリエイティビティが高い人は、オフィス内で特定のホームベースとなる場所を持ちつつ、用途に応じて会議室やカフェスペースなど他の場所を短時間で使い分ける傾向があります。集中作業はホームベースで、アイデア出しや交流は別の場所で、といったメリハリのある働き方が効率と創造性を高めます。自分の主となる場所を定めつつ、気分転換やタスクに合わせて積極的に移動する「中程度の多様性」を意識しましょう。

2.場所と時間の配分における「主体的選択」の重視
物理的な制約が少ないハイブリッド・ワーク環境では、上司や周囲に流されるのではなく、自らの業務内容や集中度に合わせて、働く場所や時間の配分を主体的に決めることが重要です。オフィスに行く日、在宅で働く日、そしてオフィス内でどの場所を使うかを、能動的に選択することで、クリエイティビティを高める行動パターンが生まれやすくなります。

3.オンラインコミュニケーションの「適度な距離感」
常にオンラインでのコミュニケーションに追われるのではなく、オフラインでの集中時間や、時にはデジタルデトックス、あるいは休暇取得によるリフレッシュが、新たなアイデアの創出に繋がる可能性を示しています。必要最低限のコミュニケーションを心がけ、過度なチャットに時間を奪われないよう意識し、時には意識的にオンラインから離れる時間を設けることも有効です。

この研究は、ハイブリッド・ワーク時代における個人のクリエイティビティ発揮には、物理的な場所の制約を超えた「主体的選択」が鍵であることを示しています
多様なワークスペースをバランス良く活用し、オンラインコミュニケーションと適度な距離を保つことで、ビジネスパーソン一人ひとりが自身の創造性を最大限に引き出し、新しい価値を生み出す働き方へと繋がるでしょう。

記事原案 こず

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