「起業したい」気持ちはどう育つ?日本の大学生のホンネを探る

「起業したい」気持ちはどう育つ?日本の大学生のホンネを探る

日本の大学生、起業意欲はなぜ低い?

各国の起業活動を調査・国際比較などを行うグローバル・アントレプレヌールシップ・モニター(GEM)において、長年日本は起業家活動が少ないと指摘されていました。さらに、大学生の起業意識を調査するGUESSS(Global University Entrepreneurial Spirit Students’ Survey)の2018年レポートでは、起業をキャリアとして選ぶ学生の割合が54カ国中、日本が最下位でした。これらのデータは、日本で起業を目指す人が大人も学生も非常に少ない現状を明確に示しています。 

なぜ日本の大学生は起業に積極的になれないのでしょうか? そして、どうすれば彼らの「起業したい」という気持ち(起業意思)を高められるのでしょうか?
法政大学の田路則子先生らの論文「大学生の起業意思形成モデルの検証」は、この疑問に焦点を当て、大学生の起業意思形成のメカニズムを解明しようと試みた研究です。

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起業したい気持ちの決め手:自信とポジティブな態度 
研究では、大学生2,664人を対象とした大規模なアンケート調査を実施し、彼らの起業への心理を深く分析しました。その結果、起業したいという気持ちを左右する重要な要素が明らかになりました。まず、「自分にも起業ができる!」と信じる自信(自己効力感)が極めて重要です。また、「起業っていいな」というポジティブな態度を持っている学生ほど、起業したい気持ちが高まる傾向が見られました。これらの傾向は、世界の先行研究でも共通して示されています。

態度と自信の相乗効果が起業意欲を増幅させる
さらに興味深い発見として、この起業への態度と起業への自信が単独で作用するだけでなく、互いに影響し合うという相乗効果を生む点です。どちらか一方が高まると、もう片方の効果もさらに引き上げられ、起業したい!という気持ちが強まることが示されました。このことは、態度と自信の相乗効果が起業意欲を増幅させ、学生に起業は面白いと感じさせたり、自分でもできそうという感覚を与えたりすることが、その後の強い起業動機につながる重要な鍵となるでしょう。

周りの声よりも「大学の環境」が影響大
意外な結果として、家族や友人が「起業はいいよ」と応援してくれるような周りの好意的な反応は、今回の調査では直接的に起業したい気持ちを後押しする結果にはつながりませんでした。一方で、学生自身で大学が「起業を応援してくれる雰囲気」だと感じるほど、起業したい気持ちが高まることが分かりました。また、起業家教育を受けた学生は、そうでない学生よりも起業したい気持ちが強いことも明確に証明されました。これは、大学が単に知識を教えるだけでなく、起業を肯定的に捉え、挑戦を奨励する場であることが、学生の起業意欲に大きく影響する重要なことと示唆しています。

日本の大学生の起業意識を高めるために

この研究から見えてきたのは、日本の大学生の起業意識を高めるためには、大学が果たす役割が大きいということです。具体的には、学生が「自分にも起業はできる」という自信を持てるよう促し、「起業は面白い」というポジティブな態度を育むような教育プログラムや環境整備が効果的です。起業の面白さを伝えつつ、必要なスキルを教えるプログラムを組み合わせることが、学生たちの「起業したい」という意欲を引き出すカギとなります。

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