意図的な不正と子会社のミスが、企業全体に深刻なダメージを与える理由
近年、粉飾決算やデータの改ざん、リコールなど、企業の不祥事が相次いでいます。企業側にはどのような影響があるのでしょうか?
中央大学の青木英孝先生の論文「企業不祥事のインパクト:不祥事タイプ別・子会社不祥事・企業ガバナンス」では、2014年から2019年に起きた451件の不祥事について、「イベント・スタディ」という手法を使って株価の変化を分析しました。これは、不祥事が報道された前後の日に株価がどう動いたかを調べる方法です。
主な結果は以下のとおりです。
- 意図的な不祥事は特に影響が大きい
不祥事が起きた企業では、株価が平均約1.5%下がりますが、粉飾決算やデータ改ざんなどの意図的な不正では、4.6%も下がりました。 - 子会社の不祥事でも親会社にダメージ
トヨタグループのように、グループ会社の問題でも親会社の株価が下がることが確認されました。 - 企業統治(ガバナンス)は万能ではない
ガバナンスとは企業を正しく運営・監視する仕組みのことですが、優れた企業統治体制でも、不祥事による株価下落を完全に防ぐことは難しいという結果が出ています。
実務へのヒント「うちは大丈夫」は禁句。不祥事“発生前提”の危機管理
- 不正の“悪質さ”が重要:うっかりミスよりも、意図的なごまかしのほうが会社に大きな損害を与えます。社内では意図的な不正を防ぐ意識が必要です。
- ガバナンスは見せかけでなく実効性を:「社外役員が何人いるか」だけでなく、本当にチェックできているかが問われます。
- 信用が高い会社ほど要注意:世間の期待が高い企業ほど、不祥事が発覚すると反動が大きくなるため、危機管理体制の強化が不可欠です。
うちは大丈夫と油断せず、不祥事は“起きる前提”で備えることが、これからの企業経営には欠かせません。
記事原案 新谷志津乃
