データ改ざんを招く組織の力学とは

データ改ざんを招く組織の力学とは

データ改ざんの裏に潜む「見えにくい力」 

日本企業におけるデータ改ざん問題は、単なる一企業の不祥事にとどまらず、製造業全体の信頼性と国際的な競争力を揺るがす深刻な課題です。近年、著名な自動車メーカーなどによる不正が相次いで発覚し、企業の評判だけでなく、株主、従業員、顧客、社会全体に多大な影響を与えています。
グロービス経営大学院大学の髙岡明日香先生による論文『「不正を起こすパワーモデル」の提示:データ改ざんの背後にある疑う余地のない不健全なパワー』では、2015年から2022年にかけて日本の上場企業で発生した35件のデータ改ざん事例を詳細に分析し、従来の命令型や金銭目的型の不正とは異なる、より構造的な問題の存在が明らかになりました。

「規範の力」と「放置の力」という二つの組織的な力が不正を生むメカニズムです。規範の力とは、社内で「かくあることが正しい」という社内の暗黙のルールのことです。納期優先、問題報告は無意味、多少の改ざんは黙認といった社内の暗黙の常識もこれに含まれます。従業員がそれに無意識に従ってしまうことで、不正が起こってしまうのです。一方、放置の力とは、経営陣が問題を知りながらも見て見ぬふりをする、または関心を示さない姿勢を指します。これらの力が、監査機能の弱さや過度なプレッシャー、部門間の権限の偏りといった組織の機能不全と重なることで、不正が自然と発生しやすい環境が生まれていたのです。

つまり、データ改ざんは個人の悪意ではなく、組織文化と構造に根差した見えにくい力によって引き起こされており、再発防止には表面的なルール整備以上に、企業文化や管理体制の根本的な見直しが求められています。

データ改ざんリスクをどう見抜くか

以下チェックリストで、ご自身の会社でデータ改ざんのリスクが潜んでいないかを確認してみましょう。

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規範の力に潜むリスクをチェックする

□納期最優先が当たり前になっていませんか?品質保証プロセスが軽視される文化がないか見直しましょう。

□現場の従業員は、問題や不正の懸念を報告することに意味がないと感じていませんか?報告を奨励し、適切に対応する仕組みが機能しているか確認しましょう。

□過度な売上・利益目標のプレッシャーが、不正の温床になっていないか注意が必要です。

□昔からこうだったという理由だけで、不適切な慣行が引き継がれていませんか?

放置の力を許さない組織を作る

□経営層や管理職は、品質保証部門など現場の状況に十分な関心を持っていますか?

□ネガティブな情報や問題提起が上がってきたときに、それを意図的に無視したり、見なかったことにしたりしていませんか? 「放置の力」は経営層の無関心や黙認から生まれます。問題の種のうちに適切に対処することが重要です。

組織の機能不全を改善する

□品質保証や内部監査の部門は、他の部門から独立して、十分な権限と資源を与えられていますか?部門間の力の不均衡はリスクを高めます。

□リスクを監査・監視するための明確なルールや手続きは整備され、実行されていますか?

チェックリストはいかがでしたか?
もし、チェックの入った項目があれば、改めて社内の状況確認を行いましょう。

記事原案 M.Sumida

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