組織内での不適切行動は、それを目撃した人の心理にも影響する 日本での調査結果

組織内での不適切行動は、それを目撃した人の心理にも影響する 日本での調査結果

不適切行動(非生産的行動)の悪影響は、目撃者にも及ぶ


ハラスメントやサボり行為など、組織内での不適切行動(非生産的行動)は、組織にダメージを与え、またその被害者にダメージを与えます。株式会社ビジネスリサーチラボの能渡真澄先生と伊達洋駆先生による論文「非生産的行動の悪影響は目撃者にも及ぶ」は、そのタイトルの通り、不適切行動の悪影響が、それを見かけた人々の心理や、組織に対する態度にも及んでいることを示した、大変重要な研究成果です。

研究のアプローチ

能渡先生たちは、既存の理論を用いて、不適切行動が周辺の目撃者に与える影響として、2つの大きな仮説を用意しました。

第一は、ストレス反応をめぐる感情的なプロセスです。不適切行動を目撃すること自体がストレッサーとして働き、怒りなどのネガティブな感情や、ストレスを引き起こします。結果、仕事のなかでの不安やバーンアウトが高まり、職務満足度も下がるはずだと仮説をたてます。

第2の仮説は、組織的公正をめぐる認知的なプロセスです。不正義を目撃した人は、この組織は人を公正に扱おうとしていないと感じ、組織的公正の認識を下げる。結果として、組織からの支援を感じにくくなり、組織への信頼感も、組織へのコミットメントも下がるのではないかと立論したのです。

能渡先生たちは日本で働く会社員にウェブ調査を行い、不備回答を除いた402名の回答を分析して、この仮説を検証しました。その結果は、以下の図にまとめられます。総じて、2つのプロセスをめぐる仮説は、いずれも支持される結果となったのでした。

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ただし、結果の読み方には注意も必要です。本研究は一時点のウェブ調査であり、「目撃したから心理状態が悪化した」という因果関係を証明したものではありません。また、目撃の程度によって説明できるのは、ストレスの実感で15%、組織的公正で16%にとどまります。目撃はあくまで数ある要因のひとつです。さらに論文自身も、目撃経験を思い返した後にストレスや組織への態度を尋ねる質問順序だったため、回答がネガティブに偏った可能性を限界として挙げています。それでもなお、目撃者への悪影響が一貫して確認された意義は小さくありません。

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組織内での不正を、きちんと断じること

この研究成果は、私たちの社会にとても大きな警鐘を与えています。

パワハラ上司や、不適切な言動をする人、組織内で悪事を働いたり、サボったりする人を見かけるとき、私たちはストレスを感じ、組織に対しての不信感を抱きやすくなる。だとすれば、組織の生産性や健全な働く環境を守ろうと思えば、こうした非生産的行動を行う人材の影響を、きわめて強く認識しなければならないということです。

近年でも、権力格差や立場の上下にもとづくパワハラ等の報道は非常に多くなされます。しかし、そうした人物はその権力ゆえに、そうそう排除されません。不適切行為を行った人が組織に居残るとき、そのダメージは、直接の被害者にとどまらず、周囲でそれを目撃する人々にまで広がっていくのです。

あるいは、学校でのいじめ。皆さんも経験があるはずです。自分がいじめの被害者でなくとも、この世に正義などない、この学校は腐っている、と感じてしまうこと。当人の世の中に対する見方が非常に悪くなるのが、不正がはびこり、そうした人物が守られてしまう状況なのです。

「非生産的行動の悪影響は、目撃者にも及ぶ。」重要なキーワードです。
本研究の成果とともに、強く記憶されるべきでしょう。

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