創造的成果に効くのは、多様な人材より多様な外の接点

創造的成果に効くのは、多様な人材より多様な外の接点

効いていたのは、チームが外で会う相手の幅

新しい企画を立ち上げるとき、まず考えるのはメンバー構成です。違う部署から、違う年代から、なるべく多様に。その常識を、400件の企画プロジェクトを調べた研究が揺さぶっています。

メンバーが多様であるほど、多様な視点が生まれる。そう考えるのが自然です。東京都立大学の竹田陽子先生は、論文「多元的視点取得が創造的成果に与える影響」で、その道筋をデータで確かめました。

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調査は2020年1月、3人以上のチームで新規事業開発や商品・サービスの企画に取り組んだ経験のある企業勤務者400人へのWeb質問票で行われ、回答者は自分が関わったプロジェクトを一つ思い出して答えています。

ここでいう創造的成果とは、今までにない新しさと、ユーザーや取引先、社内から見た適切さの両方がそろった成果を指します。もう一つの中心概念が多元的視点取得です。ユーザー・顧客、世の中、取引先など社外の関係者、社内の他部署、上司や上層部、チーム内、そして自分自身という七つの立場について、この人ならどう感じるだろうとチームで考えた度合いを尋ね、強くあてはまると答えた立場の数を数えました。平均は七つ中2.46です。

結果はまず、多元的視点取得が創造的成果と正の関係にあることを示しました。単独で最も成果と関係の強かったユーザー・顧客の視点よりも、多元的視点取得のほうが成果との相関は高い。一つの立場を深く想像するより、複数の立場を行き来しているチームのほうが成果が高い。

その前提を裏切ったのは、次の結果です。チームメンバーの多様性、つまり職種、必要とされたスキル、性別・年齢のばらつきは、いずれも創造的成果と直接の関係が見られませんでした。多元的視点取得を経由した間接的な関係も、統計的には確かめられませんでした。

代わりに浮かび上がったのが、チームが外の誰と接触したかという幅でした。同じ部署の同僚、上司、他部署、経営層、取引のある社外、取引のない社外など八つの区分のうち、そのチームが実際に接触した区分の数を数えると、平均は2.7。この接触の幅が多元的視点取得を高め、多元的視点取得が創造的成果を高めるという道筋が確かめられました。メンバー構成の多様性は、この接触の幅を広げる形で働いていました。

竹田先生は、慣れ親しんだ相手よりも外部の人のほうが新しい見方をもたらし、直接やりとりしたほうがその立場を正確に理解できるからではないかと述べています。これは結果からの解釈であり、測定された事実そのものではありません。

なお本研究は、チーム全体の状態を参加者一人が回答し、成果も自己評価で測っています。分析モデルの適合度も良好とはいえないと、竹田先生自身が限界に挙げています。

メンバー表より、会いに行く先の一覧をつくる

この研究から受け取れる示唆のうち、いちばん痛いところを突くのは、チームづくりの努力が人選で止まりやすいという点です。営業から一人、技術から一人、若手を一人。多様な顔ぶれをそろえた時点で、仕事の半分が済んだ気になります。けれど成果と結びついていたのは、顔ぶれそのものではなく、そのチームが外の誰と会ったかでした。ここから先は論文が検証した範囲を離れた読み方になりますが、企画チームの立ち上げに引き取ると、手をつける順番が変わってきます。

まず、人選と同じ熱量で、会う相手の一覧をつくってみましょう。ユーザー、既存の取引先、まだ取引のない会社、隣の部署、経営層。キックオフの資料に、メンバー表と並べて接触先の予定を書き込めるかどうか。それが目安になります。

そしてこの一覧は、放っておくと痩せていきます。調査では、八つの区分のうちチームが実際に接触していたのは平均2.7でした。多くのチームは、限られた範囲の相手にとどまっている計算になります。だから月に一度、どの区分に会ったかを数え、空いている欄を見つける。次の一か月で、そこへ一度だけ足を運ぶ。それだけで一覧は少しずつ広がります。

誰の顔を思い浮かべながら企画を書いているかは、会った相手の顔ぶれに引きずられます。視点は会議室で増やすものではなく、会いに行った先から持ち帰るもの。そう考えたほうが、次の行動は決めやすいはずです。

多様な人を集めることと、多様な立場から考えられることは、同じではありませんでした。前者を後者に変えるのは、チームの外で会う相手の幅でした。どの立場の人と会う予定があるか。企画書の隣に、その一覧を置いてみてください。

記事原案 本多佳子

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